AIで業務効率化した事例8件の数字と、減らせる業務の一覧・何から始めるか

この記事を読むと分かること
「社会全体で労働コストが上昇し、人口減少による人手不足が深刻化する中、当社も同様の課題に直面しています」。「これまで過去の膨大なアーカイブ動画から特定のシーンを探し出すのはとても大変でした。それを効率化したい、というのが一番の目的です」。AIで業務を効率化しようと考えるきっかけは、このような状況から生まれます。
この記事は、会社の業務をAIで減らしたい経営者と担当者の方に向けて書いています。個人の副業や資格の取得に向けた内容は扱っていません。
AIによる業務効率化では、文書の作成、問い合わせ対応、社内の情報検索、データの入力、データの分析、文書のチェックにかかる時間を減らせます。各社が公式サイトで公開している事例には、100時間ほどかかっていたアンケートの分析が3時間ほどになった例や、問い合わせ対応の工数が7割減った例があります。この記事で解説するのは、公開されている事例の数字、AIで減らせる業務と人に残る作業、最初に取り組む業務の選び方、支援会社に頼む場合の進め方です。
AIの導入を支援する会社を比べたい方は、AI導入支援のおすすめ11選で各社の料金と導入事例を紹介しています。

1. AIによる業務効率化とは
AIによる業務効率化とは、文章の作成、要約、検索、分類、読み取りといった作業をAIに任せて、人が作業にかける時間を減らす取り組みのことです。生成AIが広まってからは、文章を扱う業務にもAIを使えるようになりました。
総務省の令和8年版 情報通信白書の企業向け調査では、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた日本企業は86.4%でした(生成AIの活用方針を「わからない」と答えた企業を除いた割合)。業務の種類ごとの活用状況では、「議事録・メール作成補助」で活用していると答えた割合が約7割で最も高く、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続きます。導入の効果を実感すると答えた企業の割合も、「議事録・メール作成補助」がほかの業務より高い結果です。
業務効率化に使われるAIの種類
この記事では、業務効率化に使われるAIを次の4種類に分けて説明します。向いている種類は、減らしたい業務によって変わります。
- チャット型の生成AI:文章の叩き台、要約、翻訳、アイデア出しを行う。メールや資料の作成にかかる時間を減らしたい会社に向いている
- 社内の文書を参照して答えるAI:社内の規程やマニュアルを読み込ませ、社員の質問に文章で答える。問い合わせ対応や情報の検索にかかる時間を減らしたい会社に向いている
- AI-OCR(文字の読み取り):紙やFAXの注文書、請求書から文字を読み取ってデータにする。手入力を減らしたい会社に向いている
- AIエージェント:人が指示した内容に従って、情報の収集から文書の作成までの複数の作業を続けて進める。複数の作業がつながった業務を任せたい会社に向いている
RPAとの違い
RPAは手順が毎回同じ作業を繰り返し、生成AIは中身が毎回違う作業を扱います。RPA(パソコンの決まった操作を、人の代わりに自動で繰り返すソフト)が行うのは、データの転記やファイルの保存のように、人が決めた手順をそのまま繰り返す作業です。生成AIは、文章の作成や要約のように、毎回中身が違う作業に使えます。手順が毎回同じ作業はRPA、文章や書類の中身が毎回違う作業はAI、と分けて使うのがおすすめです。
2. AIによる業務効率化の事例と、削減の数字

公開されている事例では、100時間ほどかかっていたアンケートの分析が、AIの活用で3時間ほどに短縮されています。1本あたり平均6時間かかっていた記事の制作が、2時間以内になった例もあります。ここでは、AIの導入を支援する会社が公式サイトに公開している導入事例のうち、AIを使った業務と、導入後の変化が数字で書かれている8件を紹介します。
業務と導入後の変化が数字で公開されている8件の事例
8件は、文書の作成、問い合わせ対応、データの入力、データの分析、文書のチェック、システム開発と、業務の種類が分かれています。導入後の変化は、公式サイトに結果として書かれている数字を選び、数字は各社の表記のまま載せました。8件のうち4件は時間の数字、4件は削減の割合です。
| AIを使った業務 | 依頼した会社 | 導入後の変化(公式サイトの記載) | 支援した会社 |
|---|---|---|---|
| アンケートの分析 | 東急ストア (総合小売業) | 100時間ほどかかっていた分析を 3時間ほどに短縮 | グラファー |
| ECサイトへの商品登録 | ミスターマックス・ ホールディングス (総合ディスカウントストア) | 1商品あたり約10分の入力が 2分に短縮 | グラファー |
| インタビュー記事の 制作 | 社名は非公開 | 1本あたりの制作時間が 平均6時間から2時間以内へ短縮 | WEEL |
| 保守担当者からの 問い合わせ対応 | サニックスエンジニアリング (太陽光発電システムなどの 設計・施工・保守) | 問い合わせ対応工数を 7割削減 | アイレット |
| FAXで届く注文書の 読み取りと受注処理 | 社名は非公開 (製造・卸売業) | 導入初期で受注処理工数を 30%削減し、最終的に70%削減 | NOVEL |
| 週報の作成 | 社名は非公開 (総合電機メーカーの システム開発部門) | 週報作成工数:80%削減 | AVILEN |
| 社内資料のレビュー | 社名は非公開 (IT・通信業界) | 類似指摘・差し戻しの削減: 70%以上 | AVILEN |
| システム連携の 仕様書の修正 | 西日本旅客鉄道 (JR西日本) | 試作の検証で、1~2時間かかることも あった修正作業が約30分に短縮 | TISI |
表の8件は、各社が公式サイトで公開している事例のうちの一部です。各社はほかの業種や規模の会社も支援しているので、会社ごとの料金と支援の範囲はAI導入支援のおすすめ11選をご覧ください。
中小企業が1年間のプロジェクトで年間2,247時間分の業務を減らした事例
中小企業のアイニコグループは、1年間のAI活用のプロジェクトで、全10事業部の合計で年間2,247時間分の業務時間を減らしたと報告しています。総務省の令和8年版 情報通信白書が紹介している事例です。同社は奈良県や京都府南部で注文住宅、リフォーム、介護、保育などを手がけています。プロジェクトは専門の支援会社と連携して進め、全10事業部から計21名が参加しました。
白書には、同社が報告した部門ごとの成果も載っています。広報部門は、複数の社内業務を自動化して年間880時間の削減です。不動産事業部門は、問い合わせ対応のテンプレート化と自動化で年間897時間を削減したと報告されています。介護事業部門では、利用者の送迎ルートを最適化するシステムの作成などで年間170時間の削減でした。白書が成果を載せている3部門では、社内業務の自動化と問い合わせ対応の削減時間が大きくなっています。不動産会社の問い合わせ対応などにAIを使う場合の業務は不動産会社のAI活用の事例とツールにまとめています。
事例の数字を読むときに確認する3つの点
事例の数字を読むときは、運用した結果か、時間の数字か、何と比べた数字かの3つを確認します。AIの事例には、削減時間のほかに、精度や利用率の数字も載っているためです。
- 実際に運用した結果か、検証の段階の見込みか。「短縮されました」は運用した結果で、「削減が期待できます」「短縮できる見込みです」は試作や検証の段階の見込みです
- 時間の数字か、精度や利用率の数字か。「回答精度」はAIの答えが合っていた割合、「利用率」は社員がAIを使っている割合で、どちらも作業時間が減った量とは別の数字です
- 何と比べた数字か。「1商品あたり約10分が2分に」のように、導入前の同じ作業の時間が書かれている事例は、自社の件数を掛けて削減時間を計算できます
割合で書かれた数字を自社の削減時間に直すには、導入前の作業時間と、数字を測った期間が必要です。同じ業務を支援会社に相談するときは、この2つを確認すると、自社で減らせる時間を見積もれます。
3. AIで減らせる業務の一覧

AIで減らせるのは、文章を作る業務、質問に答える業務、情報を探す業務、書類を読んで入力する業務、データを分類して集計する業務、文書を確認する業務の6つです。AIが行うことと、人が行うことをセットにして一覧にしました。
| 業務 | AIが行うこと | 人が行うこと |
|---|---|---|
| 文書の作成 | メール、報告書、記事、 議事録の叩き台を作る | 内容の正しさと、 社外に出す言い回しの確認 |
| 問い合わせ対応 | 社内の規程やマニュアルを 参照して質問に答える | 答えのもとになる 文書の更新 |
| 社内の情報検索 | 大量の文書や動画から 該当する箇所を探す | 探し当てた情報が 最新かどうかの確認 |
| データの入力 | 注文書や商品ラベルの 文字を読み取る | 読み違いの確認と、 登録前の最終チェック |
| データの分析 | アンケートの回答を 分類して集計する | 分類の基準の決定と、 結果の解釈 |
| 文書のチェック | 不備、論点の漏れ、 表記の揺れを指摘する | 指摘を採用するかの判断と、 承認 |
文書の作成
生成AIは、メール、報告書、記事、マニュアルといった文章の叩き台を作ります。2章のインタビュー記事の制作の事例では、録音したインタビューの文字起こしから記事の初稿までをAIが作り、担当者は最終チェックと微修正を行っています。会議の音声から議事録を作る、長い資料を要約する、外国語に翻訳する、といった使い方も同じ種類です。人が見るのは、書かれた内容が事実と合っているかと、社外に出してよい言い回しかどうかです。
問い合わせ対応と社内のヘルプデスク
社内の規程やマニュアルをAIに読み込ませておくと、社員の質問にAIが文章で答えます。2章の問い合わせ対応の事例の会社では、保守担当者からの技術的な質問に答えるために、膨大な資料から必要な情報を探す時間がかかっていました。社内専用のAIチャットを構築したあとは、問い合わせ対応の工数が7割減っています。答えのもとになる文書を最新の内容に保つ作業は、導入した会社の担当です。
社内の情報検索
AIは、大量の文書や動画の中から、質問に合う箇所を探して示します。過去の提案書、契約書、技術資料が社内に散らばっている会社では、社員が資料を探す時間を減らせます。人が行うのは、AIが示した資料が最新の版かどうかの確認です。AIに読み込ませた資料が古いままだと、AIの答えも古い内容になるため、資料の更新が必要です。
データの入力
AI-OCRと生成AIは、紙やFAXの書類、商品のラベルの画像から文字を読み取ります。2章のFAXの注文書の事例では、注文書を読み取り、商品の一覧をもとにAIが商品コードの候補を出す仕組みで、受注処理の工数が最終的に70%減りました。2章のECサイトへの商品登録の事例では、商品のパッケージの画像からAIが文字を取り出し、商品説明の文案まで作っています。読み取った内容が書類と合っているかは、登録の前に人が確認します。
データの分析
生成AIは、アンケートの自由記述のような文章のデータを分類して集計します。2章のアンケートの分析の事例の会社では、複数人で分担して1件ずつ目視で分類していたアンケートを、AIにまとめて処理させています。分類の基準を決める作業と、集計の結果から何を読み取るかは、人の担当です。
文書のチェック
AIは、上司に提出する前の資料や、社外に送る前のメールを読み、不備、論点の漏れ、表記の揺れを指摘します。2章の社内資料のレビューの事例では、過去のレビューの履歴をAIに学習させ、上司のレビューの前にAIが一次チェックを行う流れにして、類似の指摘と差し戻しが70%以上減りました。AIの指摘を採用するかを決める作業と、資料の承認は、人が行います。
4. AIを入れても人に残る作業
AIを入れたあとも人に残るのは、AIを育てる前の準備、AIが出した結果の確認、運用のルールづくりの3つです。AIのツールを選ぶ前に、この3つを社内の誰が担当するかを決めておくことが大事です。
AIを育てる前の準備
AIが答えに使えるのは、文書やデータとして取り込んである社内の情報の範囲です。AI導入支援のおすすめ11選で紹介している導入事例には、人がどのような手順で業務を進めているかを分解し、AIに置き換える部分と人が続ける部分を整理するところから始めた例があります。2章の週報の作成の事例では、形式の違う議事録や作業の記録を、AIが参照しやすい形に加工しています。業務の手順を言語化する作業と、AIに読ませる文書を整える作業は、導入の最初に必要です。
AIが出した結果の確認
生成AIは、事実と違う内容をもっともらしく書く場合があります。そのため、AIが作った文書を人が確認して直す作業は、AIを入れたあとも必要です。2章の週報の作成の事例では、AIが作った週報の案を作成者が確認して修正します。インタビュー記事の制作の事例でも、最終的な内容の選定と口調の調整は人の担当です。どちらの事例も、作る作業をAIに任せ、確認を人が担当しています。
運用のルールづくり
AIにどの業務まで任せるか、最終の確認をどの段階で行うか、AIに入力してよい情報は何かは、会社が決めます。情報通信白書によると、2章で紹介したアイニコグループは、最低限のルールとして、個人情報を入力しないことと、入力した内容をAIの学習に使わせない設定を行うことなどを社員に周知する方針です。ルールづくりは、AIに入力してはいけない情報を決めるところから始めるのがおすすめです。
5. AIの業務効率化は何から始めるか

最初にAIを使う業務は、繰り返しの回数が多く、かかっている時間を測れて、AIが間違えても人が直せる業務がおすすめです。議事録やメールの作成、社内の問い合わせ対応、定型の文書の作成が当てはまります。
最初の業務は、作業時間を測れて効果を確かめやすいものを選ぶ
2章の仕様書の修正の事例の依頼主の方は、この業務を最初に選んだ理由に、「工数も手頃で効果を確認しやすい」ことを挙げています。1回の作業が重すぎず、AIを使う前と後の時間を比べやすい業務です。AI導入支援のおすすめ11選で紹介している導入事例には、大がかりな仕組みから始めず、足元の課題に絞って小さく試したと語る方もいます。
総務省の令和8年版 情報通信白書は、段階的に進める場合の第一歩として、比較的安価で導入しやすい汎用のAIを社員が個人の作業で使い、その使い方を会社全体に広げる進め方を挙げています。2章のアンケートの分析の事例の会社も、定型業務の多い本社の社員を中心に、チャット型の生成AIに慣れる段階から始めました。
- 繰り返しの回数が多い。毎日や毎週発生する業務は、1回あたりの削減が小さくても、年間の削減時間が大きくなります
- 今かかっている時間を測れる。1件あたりの作業時間が分かる業務は、AIを入れたあとに効果を数字で確かめられます
- AIが間違えても人が直せる。社外に出す前に担当者が確認できる業務は、AIの誤りがそのまま社外に出る心配が減ります
始める前に決める4つのこと
AIのツールを契約する前に、次の4つを社内で決めておくと、導入したあとに効果を確かめられます。
- AIを使う業務を選びます。現場の担当者が負担に感じている業務から候補を挙げ、上の3つの条件に合うものに絞ります
- 今の作業時間を測ります。1件あたりの時間と月の件数を記録しておくと、導入後の時間と比べられます
- AIに入力してよい情報のルールを整備します。個人情報や取引先の情報をどのツールに入力してよいかを、会社として決めます
- 結果を確認する担当者を選任します。AIが作った文書を誰が確認し、誰が承認するかを先に決めます
情報通信白書の調査では、生成AIの活用に「組織的な取組はない」と答えた日本企業が27.0%でした(生成AIの利用を禁止している企業を除いた割合)。白書は、中小企業でこの割合が特に高い傾向を指摘しています。会社としてAIを使う業務を決め、今の作業時間を測っておくと、導入したあとの効果を数字で比べられます。

6. 自社で進める場合と、支援会社に頼む場合の進め方
AIによる業務効率化の進め方は、既製のAIツールを自社で導入する方法、支援会社に相談から頼む方法、業務そのものを外に任せる方法の3つです。3つの方法の違いは、業務の洗い出しと、AIを使う仕組みづくりを誰が行うかです。
| 進め方 | 業務の洗い出しと 仕組みづくりを行う人 | 自社で行うこと | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 既製のAIツールを 自社で導入する | 自社の担当者 | 業務の選定、ルールの整備、 社員への説明 | 使う業務が決まっていて、 推進の担当者を置ける |
| 支援会社に 相談から頼む | 支援会社と 自社の担当者 | 業務の説明、資料の提供、 結果の確認 | どの業務に使うかが 決まっていない |
| 業務そのものを 外に任せる(AI BPO) | 代行会社 | 任せる業務の指示と、 成果物の確認 | 業務を担当する人が 社内に足りない |
業務そのものを外に任せたい方は、AI BPOのおすすめで、AIを使って業務を代行する会社を紹介しています。
支援会社に頼んだあとの流れと期間
支援会社に頼んだあとの流れは、業務の整理と計画、試作、開発、運用と定着の4つの段階です。どの段階を通るかは、頼む範囲によって変わります。業務の整理と計画の段階では、支援会社の担当者が業務の手順を聞き取り、AIで効果が出る業務と、人が続ける業務を分けます。支援会社が対応する工程の違いは、AI導入支援とはで解説しています。
期間は、頼む範囲で変わります。2章のFAXの注文書の事例は、注文書を読み取る仕組みの構築と導入に約4か月かかっています。2章で紹介した中小企業の事例は、全10事業部から参加者を募ったプロジェクトを1年間続け、3か月、6か月、12か月の節目で成果を共有しています。
試作のあとに本番へ進むために決めること
AIの導入には、小さく試す試作(PoC)を挟んでから本番に進む進め方があります。試作を頼む前に、どの数字がどこまで出たら本番に進むかを、支援会社と決めておくことが大事です。2章の表で紹介した仕様書の修正の事例では、試作の段階で、AIが誤りを正しく検出できた割合と、作業時間の短縮の両方を確かめてから、本番の運用を始めています。
支援会社に頼むかどうかの分かれ目
既製のAIツールの導入だけで足りるのは、AIを使う業務と、社内の運用ルールがすでに決まっている会社です。公式サイトに、運用ルールや利用ポリシーが整備されていて、導入したい機能も定まっている場合は、ツールだけの導入も可能と記載している支援会社もあります。
どの業務にAIを使うかが決まっていない会社と、自社で試して技術的な問題に直面した会社は、支援会社への相談が選択肢です。情報通信白書が紹介する中小企業の事例では、専門家の支援が特に有効だった場面が2つ書かれています。「その課題はAIで解決すべきかどうか」という課題設定のときの判断と、プロジェクトを始めたあとの個別の相談です。支援会社の費用はAI導入支援の費用相場で、会社ごとの比較はAI導入支援のおすすめ11選で紹介しています。

7. AIの業務効率化に関するよくある質問
AIで業務効率化すると、どのくらい時間を減らせますか?
公開事例には、1本あたり平均6時間の記事制作が2時間以内になった例があります。1商品あたり約10分かかっていた商品登録が2分になった例もあり、削減の大きさは、業務の種類と、もとの作業時間で変わります。業務ごとの事例は、2章「AIによる業務効率化の事例と、削減の数字」の表にまとめました。
中小企業でも、AIで業務効率化はできますか?
できます。総務省の情報通信白書は、中小企業が1年間のプロジェクトで年間2,247時間分の業務時間を減らした事例を紹介しています。公開事例には、従業員数100名程度の製造・卸売業の会社が、FAXの注文書の受注処理工数を最終的に70%減らした例もあります。どちらの事例も、支援会社と連携して進めています。
業務効率化に使えるAIツールには、どのような種類がありますか?
チャット型の生成AI、社内の文書を参照して答えるAI、AI-OCR、AIエージェントの4種類です。文章の作成にはチャット型の生成AI、社内の問い合わせ対応には社内の文書を参照して答えるAI、紙の書類の入力にはAI-OCRが向いています。種類ごとの違いは、1章「AIによる業務効率化とは」で解説しています。ここで挙げた種類のうち、AIエージェントを自社用に作る場合はAIエージェントの開発を頼める会社から探せます。
AIとRPAは、どちらが業務効率化に向いていますか?
手順が毎回同じ作業はRPA、文章や書類の中身が毎回違う作業はAIが向いています。データの転記のように決まった操作を繰り返す業務はRPAで自動化できます。メールの作成や、形式の違う注文書の読み取りのように、毎回中身が変わる業務にはAIを使います。
AIに社内の情報を入力しても問題ありませんか?
AIの学習に使わない設定にし、個人情報を入力しないルールを決めてから使うのがおすすめです。総務省の情報通信白書は、社員が個人の判断でAIを業務に使うと、入力した機密情報が流出するリスクがあると指摘しています。会社として安全に使える環境を用意し、利用のルールを社員に周知することが大事です。
8. まとめ
AIによる業務効率化で減らせるのは、文書の作成、問い合わせ対応、社内の情報検索、データの入力、データの分析、文書のチェックにかかる時間です。公開事例には、100時間ほどのアンケートの分析が3時間ほどになった例や、問い合わせ対応の工数が7割減った例があります。AIを育てる前の準備、AIが出した結果の確認、運用のルールづくりは、AIを入れたあとも人が担当します。最初にAIを使う業務は、繰り返しの回数が多く、時間を測れて、人が直せる業務から選ぶのがおすすめです。
使う業務が決まっていて、推進の担当者を置ける会社は、今の作業時間を測り、入力してよい情報のルールを整備したうえで、既製のAIツールを試すところから始めましょう。どの業務にAIを使うかが決まっていない会社は、業務の整理から相談できる支援会社も選択肢です。各社の料金と導入事例はAI導入支援のおすすめ11選にまとめています。自社の業務に近い事例を公開している会社を選ぶと、導入後に減らせる時間を相談しやすくなります。
