オンライン秘書とは?依頼できる業務・似たサービスとの違い・向いている会社を解説

この記事を読むと分かること
- オンライン秘書の仕組み(誰が、どこで、どんな契約で働くか) が分かる
- 依頼できる業務の範囲と、頼めない業務 が分かる
- 個人への外注・派遣・BPOとの違い が分かる
- 料金の3つの方式と、月額5万〜15万円という相場の目安 が分かる
- 向いている会社と、向かない会社の条件 が分かる
「事務が特定の担当者に集中していて、その人が休むと止まる」。「現場に出ながら、夜に事務と経理を片付けている」。オンライン秘書という言葉を調べるきっかけは、このような状況から生まれます。
この記事は、事務や秘書業務を外に出したい会社の方に向けて書いています。オンライン秘書として働きたい方に向けた内容(仕事の探し方や収入)は扱っていません。
オンライン秘書とは、社外にいるスタッフに、チャット経由で秘書業務や事務を必要な分だけ任せる仕組みです。自社で人を雇うのではなく、サービス会社と契約して業務を切り出して渡します。編集部が公式サイトを確認した範囲では、サービス会社に頼むか個人に直接頼むか、そして担当が専任かチームかで、日々の使い勝手と契約の形が変わります。この記事では、その仕組みと違い、自社に向くかどうかの見分け方を整理しました。
具体的なサービスの比較は、オンライン秘書おすすめ14選にまとめています。この記事では、サービスを比べる前に「そもそも何か」を解説します。

1. オンライン秘書とは

オンライン秘書とは、秘書業務や事務・バックオフィス業務を、インターネット経由で社外のスタッフがリモートで代行するサービスです。社内に人を置かず、チャットツールやメールでやり取りしながら、必要な量だけ業務を任せます。
依頼できる業務は、おおむね次の4つの系統に分かれます。
- 秘書業務:スケジュール調整、メールの一次対応、出張や会食の手配
- 事務作業:データ入力、資料作成、文字起こし、リサーチ
- 経理・人事の事務:請求書や見積書の作成、経費精算、求人票の作成や応募者対応
- Webまわり:SNSの投稿、サイトの更新、メルマガの配信
誰が、どこで、どんな契約で働くか
実際に手を動かすのは、サービス会社に所属するスタッフか、サービス会社が契約しているフリーランスです。オンライン秘書の名の通り、自社のオフィスに来ることは珍しいです。契約は自社とサービス会社の間で結び、スタッフ個人と雇用契約は結びません。派遣のように社内で指示を出す形ではなく、「この業務をこの範囲で」と切り出して渡します。
やり取りの窓口はチャットが中心です。ChatworkやSlackなど、自社で使っているツールをそのまま使えるサービスが多く見られます。依頼の粒度は「今週の会議の日程を3件調整してほしい」「この請求書を月末までに作ってほしい」のような単位です。担当が専任の1人なのか、複数人のチームなのかは、サービスによって違いが出ます。チーム制のサービスでは、経理が得意なスタッフと資料作成が得意なスタッフを組み合わせ、窓口になる担当が依頼を振り分ける体制もあります。専任制なら、1人の担当が業務の背景まで覚えたうえでの対応です。初回の打ち合わせで業務の切り出しを手伝うコーディネーターが付くサービスもあり、業務の整理から一緒に始められます。どちらが合うかは、3章「似たサービスとの違い」で整理しました。
「オンラインアシスタント」「リモート秘書」との違い
オンラインアシスタント、リモートアシスタント、オンライン事務代行、クラウドバックオフィスなど、呼び方はサービスごとに違いますが、指しているものは同じです。編集部が確認した範囲では、サービス名に「秘書」を使う会社もあれば、「アシスタント」や独自の名前を使う会社もあります。検索するときは「オンライン秘書」と「オンラインアシスタント」の両方で探すと、候補の取りこぼしが減ります。アシスタントの名前で提供している会社は、オンラインアシスタントの会社の比較で紹介しています。
2. オンライン秘書に依頼できる業務の範囲
依頼できる業務は、どのサービスも基本的に対応している段と、サービスによって対応が分かれる段に分かれます。編集部が各社の公式サイトの対応業務を並べて整理しました。
どのサービスも基本的に対応している業務
- 秘書業務:スケジュール調整、会議の設定、メールの整理と一次返信、出張や会食の手配、リサーチ
- 事務作業:データ入力、ExcelやPowerPointの資料作成、文字起こし、ファイルの整理
- 経理の事務:請求書・見積書の作成と送付、経費精算、入金の確認と消込、会計ソフトへの入力、支払いの準備
- Webまわり:SNSの投稿と予約、ブログやサイトの更新、画像の簡単な加工
経理の事務は、編集部が確認したどのサービスも対応業務に挙げていました。ただし「記帳を丸ごと」まで対応するか、「請求書の作成と入力まで」なのかは会社ごとに違います。頼みたい経理の作業を先に書き出してから確認すると、ずれが減ります。
サービスによって分かれる業務
- 人事・採用:求人票の作成、スカウトメールの送信、応募者への連絡、面接の日程調整。対応するサービスは多いものの、給与計算や勤怠管理まで含むかは分かれます
- 営業事務:見込み客リストの作成、営業資料の更新、商談の日程調整。営業支援を打ち出しているサービスとそうでないサービスがあります
- 総務:備品の管理、各種申請、社内からの問い合わせ対応。総務まで対応するかはサービスによって分かれるので、頼みたいなら対応業務の一覧で先に確かめることが大事です
- 翻訳・英語対応:英文メールの対応や翻訳。対応するサービスとしないサービスに分かれます
- 専門性の高い制作:Webサイトを一から作る、動画を編集する、コンサルティングをする。業務範囲外と明記しているサービスもあります
頼めない業務、分かれる業務
オンラインで完結しない業務は、原則として頼めません。来客の対応、紙の書類の処理、現金の取り扱い、店舗や現場での作業がこれにあたります。電話の受け答えや郵便物の対応は、受電代行や郵送対応として対応するサービスと、電話業務は対象外と明記しているサービスに分かれます。
もう1点、判断を伴う業務は頼めないか、もしくは、頼まないほうが安全です。振込の承認、クレーム対応、面接での合否判断は、公式サイトで対象外と書いているサービスがあります。税務申告や社会保険の手続きのように、税理士や社労士の独占業務にあたるものも、法律上の理由で受けられません。作業と判断を分けて、判断は社内に残す前提で切り出すと、依頼がうまく回ります。

3. 似たサービスとの違い
オンライン秘書と比べられることが多いのは、個人に直接頼む方法、人材派遣、BPO、正社員の採用です。「誰と契約し、どこで働き、どの単位で頼むか」の4列で整理しました。個人に直接頼む形には、フリーランスへの依頼とクラウドソーシングが含まれます。
| 頼み先 | 契約の相手と場所 | 頼む単位 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| オンライン秘書 | サービス会社と契約。社外でリモート | 月の時間数か業務ごと | 複数の業務を切り出して任せたい。担当が休んでも止まらない体制がほしい |
| 個人に直接頼む | 個人と契約。社外でリモート | 仕事ごとか時間ごと | 頼む業務が1つに絞れていて、進捗と品質を自社で見られる |
| 人材派遣 | 派遣会社と契約。自社のオフィスに常駐 | 週の勤務日数と時間 | 社内の人と同じように動いてほしい |
| BPO | 受託会社と契約。社外 | 業務プロセスごと | 経理や労務など、1つの部門をまとめて外に出したい |
| 正社員の採用 | 本人と雇用契約。自社 | フルタイム | 業務量が安定して多く、社内にノウハウを残したい |
サービス会社に頼むか、個人に直接頼むか
オンライン秘書を検討する会社が最初に迷うのが、この2つです。サービス会社に頼む場合、契約の相手は会社です。チーム制を明記しているサービスでは、担当スタッフが休んでも別のスタッフが引き継ぎ、経理が得意な人と資料作成が得意な人を組み合わせて対応します。料金は個人に頼むより高くなりやすい一方、業務の切り出しや進め方の相談に乗る窓口が付くサービスもあります。
個人に直接頼む場合は、費用を抑えやすく、相性の良い1人と長く組める点が利点です。その代わり、稼働の安定や品質の管理、秘密保持の取り決めは自社で行います。頼む業務が1つに絞れていて、自社に指示を出せる人がいるなら、個人への依頼が合う場面もあります。
派遣、BPO、秘書代行との違い
人材派遣は、派遣スタッフが自社のオフィスに来て、自社の指示のもとで働くサービスです。常駐してほしい業務があるなら派遣が合い、必要な量だけ社外で処理してほしいならオンライン秘書が合います。BPOは、経理や労務のような業務プロセスを丸ごと受託会社に出す形で、オンライン秘書より単位が大きく、業務の設計や改善まで含むことがあります。オンライン秘書は、その手前の「部分的に、必要な分だけ」の外注という位置づけです。
秘書代行と呼ばれるサービスは、電話の一次対応と取り次ぎを中心にしたものが多く、オンライン秘書とは範囲が違います。電話対応だけを外に出したい場合は秘書代行、事務や経理まで含めて出したい場合はオンライン秘書、と分けて探すと迷いにくいです。秘書代行の名前で提供している会社は、電話の取次を任せる秘書代行の比較にまとめています。
4. 料金の仕組み

オンライン秘書の相場は、月額制で月5万〜15万円、1時間あたりに換算すると2,000〜4,000円が目安です。料金の方式は月額制、時間制、業務単位の3つに分かれ、編集部が確認した範囲では月額制が最も多いです。
- 月額制:「月10時間」「月30時間」のように稼働時間を決めて、毎月固定の料金を払う方式。最小の契約時間はサービスによって月10時間から30時間まで幅があります。時間が余ったときに翌月へ繰り越せるかは、契約前に確認が必要です
- 時間制(従量):稼働した時間分だけ払う方式。業務量が読めない段階や、試しに使う段階に向いています。ポイント制のように時間以外の単位で計算するサービスもあります
- 業務単位:「請求書作成1件」のように作業ごとに料金が決まる方式。単発の依頼に向きます
初期費用を設けているサービスと、無料トライアルを用意しているサービスがあります。月額制で見落としやすいのが、余った時間の繰り越しと、超過したときの料金です。繰り越せるサービスと当月で消えるサービスがあり、実質の単価が変わります。頼む業務が月に何時間分になるかを先に見積もってから、最小の契約時間と確認すると無駄が出にくいです。金額の内訳や各社の料金の並びは、オンライン秘書の料金相場で確認できます。月の時間数ごとの目安と、秘書を雇う場合との比較は、オンライン秘書の費用を時間数で見た目安にまとめています。
5. オンライン秘書のメリット
依頼した会社の公開事例と各社の公式サイトを読むと、メリットは次の5つに集まります。
- 経営者や担当者が、本来の業務に集中できるようになります。事務作業を手放して営業やお客様対応に時間を戻した会社の事例が、最も多いです
- 採用や教育のコストをかけずに、すぐに始められます。求人を出して面接をして育てる時間が要らず、契約から数日で業務を渡せるサービスもあります
- 業務量に合わせて増減できます。繁忙期だけ時間を増やす、落ち着いたら減らす、といった調整が契約時間の変更で済みます
- 退職や休みで業務が止まるリスクを小さくできます。チーム制のサービスでは、担当が休んでも別のスタッフが引き継ぎます
- 社内にない得意分野を借りられます。SNSの運用や英文対応のように、社内に詳しい人がいない業務を任せた会社もあります
編集部が確認した公開事例のうち数字が出ているものでは、毎日2〜3時間分の作業を手放した会社や、毎月10時間以上の時間を生み出した会社があります。任せた分の時間がそのまま戻ってくる、と考えると見積もりやすいです。
6. オンライン秘書のデメリットと注意点
デメリットは、始める前に知っていれば避けられるものがほとんどです。それぞれ、どう準備するかを解説しました。
- オフラインの業務は頼むことができません。来客や紙の処理が中心の会社は、オンラインで完結する業務を先に分けておくことが大事です
- 始めるまで担当のスキルや相性が分かりません。トライアルや短い契約から始めると、合わなかったときの負担が小さく済みます
- 口頭で頼んでいたことをチャットで書く手間が最初にかかります。頼み方の型(目的、期限、参考にするもの)を1枚にしておくと往復が減ります
- 「事務全般をお願いしたい」では渡せません。1週間の作業を書き出して作業の単位まで分けるところから始めるのが近道です
- 社内にノウハウが残りにくくなります。手順書やテンプレートを自社の名義で残す取り決めにしておくと、担当が変わっても契約を止めても困りません
- 社外に会社の情報を預けます。秘密保持契約の有無、アカウントの権限の分け方、契約終了後のデータの扱いを、契約の前に決めておく必要があります
契約期間と解約の条件も、確認が必要な点です。編集部が確認した範囲では、最低契約期間は1か月から6か月までサービスによって幅があり、解約は1か月前までの予告を求めるサービスが目立ち、自動更新を定めているサービスも珍しくありません。初回は短い期間で試せるプランを選ぶと安心です。

7. オンライン秘書が向いている会社・向かない会社

依頼した会社の事例を読み比べると、向いている会社にははっきりした共通点があります。逆に、向かない条件も見えてきます。
向いている会社
- 経営者や現場の担当者が、事務作業に時間を取られている会社。現場の作業を務めながら事務と経理もこなしていた、日々のリスト作成やメール対応に追われて戦略を考える時間が取れなかった、という状況から依頼を始めた会社の事例が最も多いです
- 事務の担当者が1人で、その人が辞めたり休んだりすると業務が止まる会社。経理・労務・総務を兼任していた担当の退職をきっかけに、業務を既存のメンバーに割り振れずに依頼を始めた会社の事例が複数あります
- 人を1人雇うほどの業務量ではない会社。「常時出勤してもらうほどではないが、頼める人が見つからない」という状況に合います
- 繁忙期だけ手が足りない会社。時間数の増減で対応できます
- 業務が特定の担当者に集中していて、属人化を解きたい会社。組織の拡大で事務の負担が増え、万が一のときに止まる不安から依頼した会社もあります。手順を外に出す過程で、業務の整理も進みます
向かない会社
- 来客対応、紙の書類、現金の扱い、店舗や現場の作業が業務の中心の会社。オンラインで完結する業務が少ないと、頼める範囲が狭くなります
- 指示を出す人が社内にいない会社。「何を、いつまでに、どの範囲で」を決める人がいないと、依頼が止まります。この場合は、業務の設計から入るBPOや、社内での採用のほうが合うことがあります
- 毎日決まった時間に、社内で人に動いてほしい会社。常駐が前提なら派遣が合います
- フルタイムの業務量が安定してあり、社内にノウハウを残したい会社。この場合は採用のほうが長期の費用で見合うことがあります
向いている条件に当てはまるなら、次は各社の対応業務と体制を見比べる段階です。オンライン秘書のおすすめ14選で、依頼した会社の状況と一緒に確認できます。
8. 選ぶときに見る点
候補を絞るときに見る点は、大きく4つです。どれも、契約のあとに「思っていたのと違った」となりやすい所を先に確かめるためのものです。詳しい確認項目はオンライン秘書の選び方に21項目でまとめています。
- 頼みたい業務に対応しているか。2章の「分かれる業務」に入るものを頼むなら、対応業務の一覧で先に確かめることが大事です
- 担当の体制が、専任かチームか。相性を重視するなら専任、止まらないことを重視するならチームが合います
- 最小の契約時間と契約期間が、自社の業務量に合うか。月10時間に満たない業務量で月30時間の契約をすると、時間が余ります
- 情報の扱いと、契約が終わったあとのデータの扱いが決まっているか。秘密保持の取り決めと、手順書の名義は契約前に確認が必要です
9. オンライン秘書に関するよくある質問
どこまでの業務をオンライン秘書に任せられますか?
作業は任せ、判断は社内に残すのが基本です。請求書の作成や日程調整、データ入力のように手順が決まっている作業は任せやすく、振込の承認や採用の合否、お客様への謝罪のような判断は、公式サイトで対象外と書いているサービスもあります。迷ったら、その業務を「手順に書けるか」で分けると判断しやすいです。
やり取りはどのように進めますか?
チャットツールでの依頼と報告が中心です。ChatworkやSlackなど、自社で使っているツールをそのまま使えるサービスが多く、電話でのやり取りは受け付けていないサービスもあります。最初に頼み方の型(目的、期限、参考にするもの)を決めておくと、往復が減ります。
担当が変わることはありますか?
あります。専任の担当が付くサービスでも、退職や体制の変更で担当が変わるケースはゼロではありません。チーム制のサービスでは、担当が休んでも別のスタッフが引き継ぐ前提で運用されています。手順書を自社の名義で残しておくと、担当が変わっても業務が止まりにくいです。
情報漏洩の対策はどうなっていますか?
秘密保持契約を結ぶかどうかと、その中身を契約前に確かめることが必要です。サービス会社との間で秘密保持契約を結び、スタッフとの間でも結んでいると公式サイトに書いているサービスがあります。あわせて、契約終了後のデータの削除や返却の扱いも聞いておくと安心です。自社側でも、渡すアカウントの権限を必要な範囲に絞ることが大事です。
AIで済む業務と、人に頼む業務の線引きはどこですか?
手順が決まっている作業はAIに、状況を見て調整する仕事は人に、という分け方が現実的です。定型の作業はAIや自動化で置き換えが進んでいる一方、相手との調整や例外の処理はまだ人の手が必要だ、と語る依頼主の声が公開事例にあります。サービス側でも、AIと人を組み合わせて業務に対応すると打ち出している会社が出てきました。AIに任せられる秘書の業務の範囲と費用は、AI秘書にできることと、できないことで解説しています。
10. まとめ
オンライン秘書は、事務や秘書業務を、インターネット経由で社外のスタッフに必要な分だけ任せるサービスです。サービス会社に頼むか個人に直接頼むか、担当が専任かチームかで、使い勝手と契約の形が変わります。経営者や担当者が事務に時間を取られている会社、担当が1人で止まるリスクを抱えている会社、人を雇うほどの量ではない会社に向いています。
自社に向くと感じたら、頼みたい業務を作業の単位まで書き出してから、対応業務と体制で候補を2〜3社に絞りましょう。各社の比較はオンライン秘書のおすすめ14選にまとめています。事務に使っている時間を、本来の仕事に戻すきっかけにしてみてください。向かない条件に当てはまった場合も、派遣やBPO、採用という別の道が見えたなら、この記事の役目は果たせています。
