BPaaSとは?BPO・SaaSとの違い、任せられる業務、提供企業の例を解説

この記事を読むと分かること
「会計や労務のクラウドのソフトを入れたが、入力と確認をする人が足りない」。「BPaaSという言葉は聞くが、これまでの外注と何が違うのかが分からない」。BPaaSを調べ始めるきっかけは、このような状況から生まれます。
この記事は、経理や人事労務などの業務を外に任せたい会社の、経営者や管理部門の方に向けて書いています。BPaaSを事業として始めたい方に向けた内容は扱っていません。
BPaaS(ビーパース)とは、クラウドのソフトと、そのソフトを使った入力や確認などの作業を、外部の会社がまとめて提供するサービスです。頼んだ会社と代行会社が同じソフトを使う点が、これまでの外注(BPO)との大きな違いです。自社に合うかどうかは、どの作業を任せて、どの判断を社内に残すかで決まります。管理部門の業務を、設計から運用までまとめて外の会社に任せる形はバックオフィスBPOの会社を体制別に比べた記事で確認できます。

1. BPaaSとは

BPaaSとは、クラウドのソフトと、そのソフトを使った入力や確認などの作業を、外部の会社がまとめて提供するサービスです。「Business Process as a Service」の略で、「ビーパース」と読みます。ソフトだけを利用するSaaSと違い、ソフトへの入力や確認などの作業まで、代行会社のスタッフが担当します。
BPaaSで任せられる業務としてよく挙げられるのは、次の4つの系統です。
- 経理:請求書のデータ化、記帳、経費精算の確認、振込、請求書の発行
- 人事労務:給与計算、勤怠データの確認、入社と退社の手続き、年末調整
- 顧客対応:定型の問い合わせへの回答、対応の履歴の登録
- 受発注と販売管理:受注情報の登録、見積書と請求データの作成
BPaaSは、経理や人事労務のようなノンコア業務(会社の中心となる事業以外の業務)を、外部に任せる方法の1つです。
BPaaSの仕組み
BPaaSは、クラウドのソフト、代行会社のスタッフ、頼んだ会社の3者で業務を進めます。頼んだ会社と代行会社が使うのは、同じクラウドのソフトです。代行会社のスタッフは、ソフトの中のデータを直接見て作業を進めるため、頼んだ会社がデータを加工してメールで送る作業は少なくなります。業務の進み具合も、ソフトの画面で確認できます。
例えば経費精算では、社員がクラウドのソフトに経費を申請し、代行会社のスタッフが内容を確認して、不備があれば差し戻します。申請のルールを決める作業と、支出の承認は、頼んだ会社が行います。
ソフトの初期設定や、業務の手順の設計を代行するサービスもあります。会計ソフトや労務ソフトを自社で提供している会社が、そのソフトを使った業務の代行までを行うサービスも、BPaaSの1つです。
BPaaSが使われる理由
編集部が確認した範囲では、BPaaSを提供する会社の多くが、クラウドのソフトを導入しても日々の入力や確認を担当する人が足りない、という状況を挙げています。複数のソフトを使いこなす知識を持つ人が社内にいない会社にとって、ソフトを使った作業ごと任せられるサービスは選択肢になります。
BPaaSにあたるサービスの呼び方は、会社ごとに違います。AIと組み合わせたBPaaSを名乗る会社もあれば、オンラインアシスタントや業務代行のサービスを、BPaaSと説明している会社もあります。同じ呼び方でも任せられる範囲はサービスごとに違うため、名前ではなく、対応している業務と作業の中身で比べることが大事です。
2. BPaaSで任せられる業務の範囲
BPaaSで任せられるのは、手順が決まった、定型の業務です。対応する業務はサービスごとに違い、経理と人事労務に絞ったサービスもあれば、バックオフィスの業務全般に対応するサービスもあります。編集部が、BPaaSを提供している会社の公式サイトを確認した範囲で、業務を整理しました。
多くのサービスが対応している業務(経理、人事労務)
経理は、編集部が確認した範囲で、対応しているサービスが最も多い業務です。給与計算を含む人事労務が、それに続きます。どちらも定型の作業が多く、会計ソフトや労務ソフトの上で作業が進む業務です。
- 経理:請求書の受け取りとデータ化、仕訳の作成、記帳、経費申請の確認、振込、請求書の発行、決算の資料の作成
- 人事労務:給与と賞与の計算、勤怠データの確認、入社と退社の手続き、身上変更の手続き、年末調整
サービスによって分かれる業務(顧客対応、受発注、ITのヘルプデスクなど)
経理と人事労務以外の業務は、対応しているかどうかがサービスによって分かれます。問い合わせ対応、受発注と販売管理、採用、営業事務、総務、ITのヘルプデスクなどです。任せたい業務がこの範囲にある場合は、その業務に対応しているサービスから候補を探します。
税務の申告は税理士、社会保険の手続きは社会保険労務士だけが、報酬を得て代行できる業務です。BPaaSの中には、税理士や社会保険労務士が作業を担当するサービスもあります。資格が必要な業務まで任せたい場合は、誰が作業を担当するかを問い合わせで確認します。
社内に残る判断
BPaaSを使う場合も、ルールの決定、承認、例外の判断は、社内に残す例が多く見られます。代行会社が担当するのは、決まったルールに沿った入力と確認が中心です。どこまで任せられるかはサービスによって違うため、業務ごとの例を整理しました。
| 業務 | 任せられる作業の例 | 社内に残る判断の例 |
|---|---|---|
| 経理 | 請求書のデータ化と仕訳の作成、記帳、経費申請の確認、振込の手続き | 支出の承認 経費のルールの決定 |
| 人事労務 | 給与と賞与の計算、勤怠データの確認、入社と退社の手続き、年末調整 | 賃金制度の決定 支給額の最終確認 |
| 受発注と販売管理 | 受注情報の登録、見積書と請求データの作成 | 価格と取引条件の決定 |
| 顧客対応 | 定型の問い合わせへの回答、対応の履歴の登録 | 重要な案件の対応方針 |
経理だけを任せたい場合は、経理アウトソーシングのおすすめ12選で各社の対応範囲を紹介しています。

3. BPaaSとSaaS・BPO・AI BPOとの違い

BPaaSと似たサービスの違いは、誰が作業をして、誰がソフトを用意するかで整理できます。BPaaSは、ソフトを提供するSaaSと、業務を代行するBPOを組み合わせたサービスです。
| サービス | 作業をするのは | ソフトを用意するのは | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| SaaS | 自社の社員 | 自社(契約して設定する) | 業務は社内に残し 道具で効率を上げたい |
| BPO | 代行会社のスタッフ | 自社と代行会社が別々のシステムを使う場合が多い | 自社に合わせた手順で 業務を外に出したい |
| BPaaS | 代行会社のスタッフ | 自社と代行会社が同じクラウドのソフトを使う | ソフトを使った作業ごと まとめて任せたい |
| AI BPO | AIと代行会社のスタッフ | 代行会社がAIを組み込んだソフトを用意する場合が多い | 件数の多い業務を AIの運用ごと任せたい |
BPOとの違い
BPOとBPaaSの大きな違いは、頼んだ会社と代行会社が同じソフトを使うかどうかです。BPO(Business Process Outsourcing)は、業務の一部を外部の会社に任せる外注全般を指す言葉です。BPOでは、頼んだ会社と代行会社が別々のシステムを使っている場合が多く、データはメールなどで受け渡します。任せる業務によっては、渡す前にデータを加工する作業も発生します。
BPaaSでは、頼んだ会社も代行会社も同じクラウドのソフトにログインして作業します。データを送り直す手間が減り、頼んだ会社は処理の状況をいつでも見られます。一方で、BPaaSはサービスごとに業務の進め方が決まっていて、自社独自の手順に合わせた変更はしにくい傾向です。個別の調整が多い業務は、手順を自社に合わせて組み立てられるBPOが合います。
「BPOは人の作業、BPaaSは自動化」という分け方は、当てはまらないサービスがあります。クラウドのソフトや自動化の技術を使うBPOもあり、スタッフが手で進める作業を含むBPaaSもあります。候補を比べるときに見るのは、名前ではなく、任せられる作業と使うソフトです。
SaaSとの違い
SaaSとBPaaSの違いは、ソフトを使った作業を誰が行うかです。SaaS(Software as a Service)は、インターネット経由で利用するクラウドのソフトです。SaaSを契約した場合、設定、入力、確認は自社の社員が行います。BPaaSは、ソフトを使った作業まで外部の会社が担当します。
会計ソフトを入れても、請求書を入力する人がいなければ業務は進みません。ソフトを使う人が社内に足りない場合に、BPaaSが候補になります。
AI BPOとの違い
AI BPOは、書類の読み取りや問い合わせの一次対応をAIが処理し、結果の確認と例外の対応を代行会社のスタッフが担当するサービスです。BPaaSは、AIを使うかどうかがサービスによって違います。
BPaaSとAI BPOは、重なる部分があります。請求書をAIで読み取り、代行会社のスタッフが確認して会計ソフトに登録するサービスは、どちらの名前でも呼ばれています。AIが処理する工程と人が確認する工程の分け方は、AI BPOとはで解説しています。
4. BPaaSのメリット
BPaaSのメリットは、クラウドのソフトを使う人を社内で確保しなくても、業務を進められることです。
- 入力と確認に使う時間を減らせます。請求書の入力や勤怠データの確認を任せると、社内の担当者は承認や判断の業務に時間を使えます
- 専門の人材を採用しなくても、業務を進められます。経理や労務の知識を持つスタッフが作業を担当するため、採用と育成にかかる費用を抑えられる場合があります
- ソフトの操作を社員が覚える負担が減ります。ソフトへの入力や設定は、代行会社のスタッフが担当します
- 任せた業務の状況を、自社でも確認できます。データをクラウドのソフトの画面で見られるため、業務の中身が社内から見えなくなる状態を避けられます
任せる前に業務のルールを書き出す作業は、担当者ごとに違っていた手順を統一するきっかけにもなります。
5. BPaaSのデメリットと注意点
BPaaSの注意点は、サービスが決めた進め方に、自社の業務を合わせる場面が出てくることです。契約の前に確認しておきたい点を4つ挙げます。
- 自社独自の手順は、そのまま任せられない場合があります。承認の経路が複雑な業務や、例外の処理が多い業務は、追加の対応が必要になり、費用と社内の作業が増える場合があります
- 社外に預ける情報の範囲は、契約の前に確認します。確認するのは、代行会社に渡す情報、ソフトを見られる担当者、作業の履歴の確認方法、問題が起きたときの連絡先です
- 契約をやめるときの、ソフトとデータの扱いを確認します。契約の終了と同時にソフトが使えなくなる場合もあるため、データの出力の形式、引き継ぎの支援、解約を申し出る期限を先に聞くことが大事です
- 社内の窓口は残ります。ルールの変更や例外の対応を判断する担当者は、BPaaSを使い始めたあとも社内に必要です

6. BPaaSが向いている会社・向かない会社

BPaaSが合うかどうかは、任せたい業務の手順が決まっているか、サービスの進め方に合わせられるかで分かれます。
BPaaSが向いている会社
- 経理と労務を、兼務を含めて1〜2人で担当している会社。作業を任せると、特定の担当者に作業が集中する状態を避けやすくなります
- クラウドのソフトを契約しているが、入力と確認の担当者を決められていない会社。ソフトを使った作業まで任せられます
- 請求書の処理や給与計算のように、手順が決まった業務がある会社。定型の業務は、任せる範囲を決めやすい業務です
- 事業の拡大で、処理の件数が増えている会社。人を採用する前に、増えた分の作業を任せる方法があります
BPaaSが向かない会社
- 承認の経路や例外の処理が会社独自で、変えられない会社。サービスの進め方に合わせにくいため、手順を自社に合わせて組み立てられるBPOが合います
- 任せたい業務の手順を、まだ書き出せていない会社。BPaaSに合うのは手順が決まった業務なので、任せる前に手順とルールの整理が必要です
- いま使っているソフトを変えたくない会社。指定のソフトとセットで提供されるサービスでは、ソフトの乗り換えが必要になる場合があります
事務の作業を月の時間数で任せたい場合は、事務代行のおすすめ12選で各社の料金と対応範囲を紹介しています。
7. BPaaSを選ぶときに見る点
BPaaSを選ぶときは、任せる範囲、使うソフト、社内に残る作業、やめるときの扱いの4つを確認します。
- 任せたい業務に対応しているか。定型の処理、不備の確認、問い合わせ、例外の対応のうち、どこまでがサービスに含まれるかを確認します
- 使うソフトは何か。指定のソフトを使うのか、いま使っているソフトのまま任せられるのかで、導入の手間が変わります
- 社内に残る作業は何か。資料の受け渡し、承認、結果の確認にかかる時間は、契約の前に聞くことが大事です
- やめるときにデータをどう受け取れるか。データの返却の方法と、引き継ぎの支援の範囲を確認します
8. BPaaSを提供している企業とサービスの例
編集部が確認した範囲で、BPaaSを提供している企業を6社紹介します。オービックビジネスコンサルタント、キャスター、kubellパートナー、SHIFT、パーソルビジネスプロセスデザイン、freeeです。載せているのは、公式サイトまたはプレスリリースで、自社のサービスをBPaaSと説明している企業です。会計ソフトや労務ソフトの提供会社と、業務の代行を本業にしてきた会社の両方が含まれています。紹介の順番は企業名の五十音順で、優劣を表すものではありません。対応する業務は変わる場合があるため、最新の内容は各社の公式サイトで確認が必要です。
| 企業とサービス | 公式サイトでの説明 | 対象の業務 |
|---|---|---|
| 株式会社オービックビジネスコンサルタント 奉行クラウドBPaaS | 「奉行 i クラウドを活用したBPaaSサービスでバックオフィス業務の精度と生産性を向上し、企業の継続的な成長を支援します。」 | 経理 人事労務 |
| 株式会社キャスター CASTER BIZ accounting for 上場企業経理 | 「上場企業の経理部門が直面する連結会計・原価計算・固定資産管理などの高難度業務や、専門人材不足による業務停滞を、経験豊富なプロフェッショナルがBPaaS(Business Process as a Service)として伴走し解決します。」 | 上場企業の経理 |
| 株式会社kubellパートナー タクシタ | 「必要なタイミングで必要な分だけ業務の依頼ができ、即戦力となる優秀なアシスタントがチーム体制で業務をサポートします。」 | 経理、労務 採用、営業事務 |
| 株式会社SHIFT AI×BPaaS | 「本スキームは、AI前提で設計した業務をAIと人で役割分担し、業務が止まらず回り続ける状態をBPaaSとして提供するサービスモデルです。」 | 人事、経理、IT 総務、法務 |
| パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社 記帳代行サービス by StepBase | 「本サービスは、PDFや画像ファイルの請求書をAIと目視確認により高精度にデータ化し、CSV形式の会計データとして納品する記帳代行サービスです。」 | 請求書のデータ化 (記帳代行) |
| freee株式会社 freee BPaaS | 「freee 人事労務アウトソースは入退社手続きや身上変更といった人事管理から、月次給与計算や年末調整まで代行するサービスです。」 | 人事労務 請求書の受け取りと仕訳 |
6社のサービスの形は、同じではありません。指定のクラウドのソフトを、頼んだ会社と代行会社の両方が使うサービスもあれば、処理した結果をデータで納品するサービスもあります。ソフトの提供会社が紹介する認定事業者が、業務を担当する形のサービスも見られました。問い合わせのときに、いま使っているソフトと任せたい業務を伝えると、自社の業務に対応できるかが分かります。
9. BPaaSに関するよくある質問
BPaaSは何と読みますか?
「ビーパース」と読みます。BPaaSは「Business Process as a Service」の略で、業務の進め方そのものをクラウド経由のサービスとして提供する、という意味です。
BPaaSの料金はどう決まりますか?
任せる業務の量に応じて決まる、従量課金のサービスが多くあります。請求書の処理は毎月の書類の枚数、給与計算は従業員数をもとに料金を決める例が代表的です。任せる業務の範囲によって料金が変わるため、見積もりを取り、最低料金と追加の費用を含めて比べます。
少人数の会社でもBPaaSを使えますか?
中小企業に向けたサービスがあり、少人数の会社でも使えます。特定の業務だけを切り出して、小さく始められるサービスも見られます。対象にしている会社の規模はサービスごとに違うため、問い合わせのときに自社の人数と任せたい業務を伝えることが必要です。
BPaaSをやめるとき、ソフトとデータはどうなりますか?
代行会社が指定したソフトを使っている場合は、契約の終了と同時にソフトが使えなくなることがあります。契約をやめて自社の社員が業務を行うようになったあとも、ソフトに残ったデータを使い続けられるサービスもあります。データの出力の形式と、解約を申し出る期限は、契約の前に確認しておくと安心です。
BPaaSとAI BPOは何が違いますか?
AIが作業を処理することを前提にしているかどうかが違います。AI BPOは、読み取りや一次対応をAIが処理する前提のサービスです。BPaaSは、同じクラウドのソフトを使って代行するサービスを指し、AIを使うものと使わないものがあります。
10. まとめ
BPaaS(ビーパース)は、クラウドのソフトと、そのソフトを使った入力や確認などの作業を、外部の会社がまとめて提供するサービスです。頼んだ会社と代行会社が同じソフトを使う点が、BPOとの大きな違いです。ルールの決定、承認、例外の判断は、BPaaSを使う場合も社内に残す例が多く見られます。
BPaaSが向いているのは、手順が決まった業務があり、ソフトを使う人が社内に足りない会社です。任せたい業務と、いま使っているソフト、社内に残したい判断を書き出してから、候補のサービスに相談しましょう。事務の作業を任せる会社を比べたい方は事務代行のおすすめ12選、AIを使った代行を比べたい方はAI BPOのおすすめ7選で各社を紹介しています。入力と確認に使っている時間を減らす方法として、検討してみてください。
