年間の採用目標に、応募が届かない。求人媒体にも人材紹介会社にもお金をかけているが、どれが効いているのか分からない。採用が施設ごとに進んでいて、本部で揃えられていない。株式会社HHSに届くのは、こうした介護・医療の事業者の「人が採れない」悩みだ。とくに多いのは、応募の母集団づくりから苦戦しているケースである。2026年10月16日、代表の酒井貴文さんにオンラインで話を聞いた。
お話を聞いた人
酒井 貴文株式会社HHS 代表取締役
前職で「マイナビ看護師」「マイナビ介護職」「マイナビコメディカル」の事業責任者を務め、17年にわたり医療・福祉の事業者の採用に携わる。2026年6月に株式会社HHSを設立し、医療・福祉の事業者向けの採用コンサルティングと、人材紹介会社向けのコンサルティングを手がける。
株式会社HHSとは(事業内容)
株式会社HHS(埼玉県さいたま市)は、2026年6月に設立された、医療福祉に特化した採用コンサルティングの会社だ。事業は、医療・福祉の事業者に向けた採用コンサルティングと、人材紹介会社に向けたコンサルティングの二本。いま力を入れているのは前者で、介護施設をはじめとする事業者の採用を、戦略の設計から実務の代行、職員の定着支援まで受け持つ。
01介護・医療の事業者に向けた採用コンサルティング
採用予算やペルソナ(採りたい人物像)を事業者と一緒に決め、そのための方法を設計します。依頼に応じて、書類選考や面接調整といった採用代行(RPO)も担います。対象は、年間10名以上を採り続けている中規模以上の事業者です。こうした事業者は採用費が数千万円から数億円にのぼることも多く、その配分の見直しも支援に含まれます。導入は2026年10月時点で約20社。代表が関東、名古屋常駐の取締役が東海を受け持ち、出張も含めて全国に対応しています。
02採用だけで終わらせない定着支援
採用だけでは、業界の人手不足は解決しません。株式会社HHSは、事業者から離職データを預かり、AIも使って分析して改善点を洗い出し、打ち手を示します。打ち手として実施しているのが、管理職向けのマネジメント研修です。導入先が増え、定着支援の実施例も増えています。
03人材紹介会社に向けたコンサルティング
人材紹介会社は3万社を超え、毎年約4,000社のペースで増えています。その半分にあたる約1万5,000社は、年間の決定がゼロの状態です。株式会社HHSは、こうした会社に経営のノウハウを伝えます。紹介会社の質が上がれば、紹介を受ける事業者の側も良くなる。2つの事業は、この循環でつながっています。
どちらの事業も出発点は同じで、社会人として17年育ててもらった人材紹介と医療・福祉の業界に恩返しをしたい、という起業の思いです。
この事業で支援した会社の記録は 支援事例 に。
株式会社HHSの特徴・強み
株式会社HHSは、代表が介護・看護の採用を17年見てきた知識の上で、何の手段を使うかを決める上流の設計と、現場に足を運んで手を動かす実務の両方をやりきる、医療福祉に特化した採用コンサルティングの会社だ。株式会社HHSの強みは、介護・看護の採用の知識を土台に、採用戦略の設計と実務の両方を担えることと、法人本部だけでなく介護施設の現場まで足を運ぶことだ。その判断の軸に、働く人が楽しく働き、元気になれる状態をつくるというビジョンがある。
01介護・看護の採用を、事業者の側から17年見てきた
株式会社HHSは、代表が看護師・介護職・コメディカルの人材紹介サービスの事業責任者として17年にわたり医療・福祉の事業者と採用のやりとりを重ねてきた経験を、採用コンサルティングの土台にしている。
酒井さんは前職で「マイナビ看護師」「マイナビ介護職」「マイナビコメディカル」の事業責任者を務め、医療・福祉の事業者とは17年、採用の話をし続けてきました。人件費率は、病院でも売上の5〜6割、訪問看護や訪問介護では7〜8割にのぼります。人の問題がそのまま経営に響く業界の構造を知っているから、介護施設の採用の進め方や、本部と施設の役割分担、新卒市場の動きまで踏まえて提案できます。医療・福祉に特化し、そのノウハウが大量にあること。これが次の2つの強みの土台です。
02介護施設の採用を、何の手段を使うかから決め、運用まで自分たちで動かす
株式会社HHSは、何の手段を使うべきかを決める上流の設計から入り、求人媒体と人材紹介会社の運用、応募から入社までの歩留まりの見直しまでを自分たちで動かす。
採用代行(RPO)の会社は増えていますが、多くは書類選考や面接設定の代行、決められた媒体の運用、人材紹介会社への求人PRといった作業を請け負う形です。上流のコンサルティングに入れる会社は多くなく、医療・福祉に特化するとさらに少なくなります。株式会社HHSは、手段としての作業はすべて担ったうえで、そもそも何の手段を使うべきかから設計します。採用人員が足りない業種だからこそ、設計と実務の両方がないと解決しないケースが多いためです。
愛知県の介護施設法人では、使っていなかった主要な採用チャネルを開き、名古屋の大手人材紹介会社を回って求人を説明し、費用対効果のよかったIndeedに予算を寄せました。応募から入社までの流れも見直し、決定率が低い原因が施設ごとの属人的な採用にあることを見つけて、本部が一次受けをする仕組みに組み直しています。
この進め方の記録は 支援事例 に。
03介護施設の現場に足を運び、施設長の納得を得てから採用の仕組みを変える
株式会社HHSは、法人本部だけでなく施設長会議や各施設まで足を運び、現場の納得を得ながら採用の仕組みを変える。
理屈のうえで正しい提案を出すことは、コンサルとして難しくありません。難しいのは、現場の納得を得ることです。契約は理事長と結んでも、話が下りていく施設には、これまで続けてきたやり方があります。酒井さんは毎月愛知県まで出向き、施設長会議に参加させてもらい、終わったあとは施設長と一人ずつ話します。今のやり方を否定せず、受け入れたうえでどう変えるかを話し合い、動いていることを毎回細かく伝える。最初の会議ではまだ距離があった施設長たちとも、通い続けることで信頼を勝ち得てきました。「同じ言葉でも入っていき方が全然違う」。Webで完結するコンサルティングが多い中で、現地まで足を運ぶことが株式会社HHSの色になっています。名古屋常駐の取締役が週1回現地に入る体制にしてからは、支援がさらに進めやすくなりました。
04採って終わりにせず、定着支援で働く人が元気に働ける状態まで見る
株式会社HHSは、働く人が楽しく働き、元気になれる状態をつくるというビジョンから、採用だけでなく職員の定着までを支援の範囲に入れている。
採用数を増やしても辞める人が続けば、取っては辞めの消耗戦になります。株式会社HHSは、採用の充足の先に職員の定着支援を置き、離職データの分析と管理職研修まで手がけます。人材紹介会社に向けた事業も、紹介会社の質を上げることで、紹介を受ける事業者とそこで働く人を良くするためのものです。2つの事業の組み方も、どこまで支援するかも、現場に通うことも、同じビジョンから出ています。公式サイトに掲げるミッションは「経営を人の側面から支え、働くことを楽しめる社会を創る」です。