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建設業でAIは何に使える?活用事例・主なAIツールと注意点を解説

更新日 2026年10月19日
建設業でAIは何に使える?活用事例・主なAIツールと注意点を解説

「現場から戻ってから、日報と写真の整理で毎日1時間以上かかる」。「施工管理ソフトの会社からAI機能の案内が届いたが、うちの仕事の何に使えるのか分からない」。建設業でAIを使うことを考えるきっかけは、このような状況から生まれます。

この記事は、建設会社や工務店でAIの導入を考えている経営者、工事部の責任者、DXの担当者の方に向けて書いています。建設の仕事に就きたい方に向けた内容(資格や働き方)は扱っていません。

建設業でAIが使えるのは、書類づくり、図面からの数量拾いと見積、写真や配筋の検査、工程の組み立て、社内の資料探し、現場の危険の発見の6つの系統で、数量・安全・施工の判断は人に残ります。自社で進めるか外に相談するかは、減らしたい業務が決まっていて、AIの出した数量や文章を確かめる担当が社内にいるかどうかで分かれます。この記事で扱うのは、建設業でAIに任せられる業務と事例、分野ごとの主なAIサービス、注意点と補助金、相談先の選び方です。事例と国の制度の出どころは、国土交通省の資料です。

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1. 建設業のAIとは

建設業のAIとは、図面や写真、現場の記録、社内の資料をもとに、書類づくりや数量の拾い出し、検査、工程の計画の一部を人の代わりに行う技術のことです。人手不足や技術者の高齢化、長時間労働が続く建設の現場で、書類や移動、確認にかかる時間を減らす目的で使われています。

建設業で使われるAIは4種類

建設業で使われるAIは、編集部の整理では大きく次の4種類です。同じ「AI」でも、パソコンやスマートフォンで使うソフトと、建設機械やロボットに入っているものがあります。

建設業で使われるAIの4つの種類
  • 文章を作るAI(生成AI):日報、議事録、施工計画書や安全書類の叩き台を作る。社内の規程や過去の工事資料を読み込ませて、質問に答えさせる
  • 図面や写真を読むAI:PDFの図面から部材の数を数え、長さや面積を拾い出す。工事写真や配筋の画像から、寸法の計測や危険の発見を行う
  • 工程や見積を組むAI:図面と過去の工事のデータから、工程表や見積の叩き台を作る
  • 建設機械やロボットを動かすAI:カメラやセンサーで周りの状況を捉え、建設機械やロボットの作業を自動で行う。国は「フィジカルAI」と呼んでいる

中小の建設会社向けのサービスが出ているのは、文章を作るAIと、図面や写真を読むAIです。建設機械やロボットを動かすAIは、国土交通省が現場での実証を進めている段階です。

国が進める「i-Construction 2.0」との関係

国土交通省は「i-Construction 2.0」で、2040年度までに建設現場の省人化3割・生産性1.5倍を目標に掲げています。2026年度は「i-Construction 2.0 躍動の年」です。国土交通省は、「AI 活用」と「規模(企業・工事)に依らない普及」をキーワードに挙げました(国土交通省の報道発表、令和8年4月28日)。

2024年6月に成立した建設業法などの改正では、特定建設業者と公共工事の受注者に、効率的な現場管理のためにICTを活用する努力義務が定められました。国土交通省はこの改正に合わせて「ICT指針」を公表し、特定建設業者以外の建設業者にも「経営規模等に応じたICT化への取組みが不可欠」としています(国土交通省のICT指針のページ)。

フィジカルAIは、建設機械やロボットがAIで周りの状況を判断して作業する技術です。国土交通省は2026年9月に「建設分野におけるフィジカルAI戦略」の中間とりまとめを公表し、機械施工、人力技能作業、構造物点検、災害調査などの重点8分野を挙げました。戦略は「大企業だけでなく、建設業の大部分を占める中小企業も含め、あらゆる規模の現場への普及を見据える」としています。

建設業従事者2,000人のうち、AIを業務で「積極的に活用」「試験的活用」している人は34.8%でした(アンドパッドが2025年12月に行った民間の調査。調査の発表)。介護など、ほかの業種でのAIの使い方は介護でAIは何に使えるかで解説しています。

2. 建設業でAIに任せられる業務

建設業でAIが使えるのは、書類づくり、図面からの数量拾いと見積、写真や配筋の検査、工程の組み立て、社内の資料探し、現場の危険の発見の6つの系統です。どの業務でも、AIが出したものは担当者が確かめてから使うのが前提です。国土交通省の事例集では、AIの配筋検査で準備から検査までの時間を3分の1にした例が紹介されています。ここでは業務ごとに、AIが行うことと人が確かめることをセットにして解説します。

日報、施工計画書、安全書類の叩き台

現場で入力したメモや、打ち合わせの録音から、AIが日報や議事録の文章を整えます。過去の施工計画書や社内の書式を読み込ませると、新しい工事の施工計画書や安全書類の叩き台も作れます。現場から事務所に戻ってから書類に向かう時間を減らせるのが利点です。

人が確かめるのは、日付、数量、協力会社の名前、作業の手順です。生成AIは事実と違う内容を出すことがあるため、提出の前に現場代理人や工事の担当者が読み直します。

図面からの数量拾いと見積

PDFの図面や仕上げ表、建具表を読み込ませると、AIが部材の数、長さ、面積を拾い出して数量表を作ります。自社の単価表と連携させて見積書の叩き台まで出すサービスや、仕入先や外注先から届いた見積書をAIが読み取って自社の見積に転記するサービスもあります。

拾い漏れや読み違いは、積算の担当者が図面と突き合わせて直します。サービスによっては、AIが拾った箇所を図面の上に色で示し、読み取れなかった箇所を「要確認」として出します。単価と特記仕様の反映は、見積を出す前に積算の担当者が確認することが大事です。

写真と配筋の検査、報告書の作成

施工管理アプリの中には、工事写真に写す黒板の作成をAIで助ける機能を出しているものがあります。配筋の検査では、撮影した画像から鉄筋の径、間隔、本数をAIが計測し、施工管理ソフトと連携して検査帳票まで作る端末があります。

検査に合格かどうかの判断は、検査の担当者と発注者の監督員が行います。AIの計測結果は、計測した位置と写真をセットで残し、あとから確かめられる状態にしておくことが大事です。

工程表の組み立て

設計図書や数量、過去の工事の実績から、AIが工程表の叩き台を作ります。工期を優先する、歩掛を重視するといった条件を指定して、工程表を作り直せるサービスもあります。

天候、近隣との約束、協力会社の都合のような現場ごとの事情は、工事の担当者が最後に調整します。AIが出した工程表は、クリティカルパスと休日の日付を担当者が見直してから使うことが大事です。

社内の資料探しと、技術の引き継ぎ

社内の規程、過去の施工計画書、技術の資料をAIに読み込ませると、若手の質問に、出典の資料を示しながらAIが答えます。ベテランに聞かないと分からなかった工法や過去のトラブルの対処を、資料から探せるようになるのが利点です。

AIの答えは、読み込ませた資料の範囲でしか正しくなりません。古い基準の資料が残っていると古い答えが出るため、どの資料を読み込ませるかを整理し、答えの出典を開いて確かめる使い方を決めておくことが大事です。

現場の危険の発見

現場の写真をAIに渡すと、起こりうる事故と対策の案、関係する法令の候補を出すサービスがあります。カメラの映像から、安全帯のフックを掛けていない人をAIが検知する仕組みもあります。写真から危険を出すサービスの公式サイトは、若手の教育やKY活動の形骸化といった悩みへの活用を挙げています。

AIが挙げた危険が、その現場に当てはまるかを判断するのは安全管理者です。AIの指摘で気づきを増やし、最終的な対策は現場の状況を知る人が決めます。

国の事例集に載った建設会社の事例

鹿島建設は、AIの配筋検査端末で準備・計測・検査の時間を3分の1にしました。北海道旭川市の新谷建設は、カメラとAIで濃霧の見通しを数値にして、悪天候のときの現場確認をなくしています。どちらも国土交通省の事例集に載った例です。

国土交通省の資料に載ったAIの事例
  • 鹿島建設株式会社(AI配筋検査端末「Field Bar」、三菱電機エンジニアリング株式会社の製品):配筋を撮影するだけで鉄筋の径、間隔、本数を計測し、検査帳票を自動で作る。準備・計測・検査にかかる時間が3分の1に、検査報告書の作成時間が4分の1になり、計測と検査に必要な人数が3人から1人になった
  • 新谷建設株式会社(北海道旭川市):50m・100m・150m・200mの地点に看板を置き、ネットワークカメラの映像をAIが解析して見通しを数値にした。熟練の技術者の目視に頼っていた濃霧やホワイトアウトのときの作業中止の判断を数字で行い、PCやスマートフォンで現場の視界を確認できるようになった
  • 国土交通省の直轄工事の海底測量(i-Construction 2.0):海底の地形の測量データから、AIが大半のノイズを自動で取り除く仕組みを開発した。解析の期間は、例として約1週間から1時間程度になった。最後は人の目で全部の点群データを確認している

出典:国土交通省「情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針(ICT指針)に関する事例集」(令和7年3月改訂)。国土交通省「i-Construction 2.0の2年目(2025年度)の取組成果」(令和8年4月28日)

新谷建設の事例では、ツールの導入費用は高額だったものの、現場への移動が減る効果が続くことを考えて導入を決めたと書かれています。自社で試すときも、書類や移動にかかっている時間を導入の前に測っておくと、費用に見合うかを数字で判断できます。

何から始めればいい?

何から始めるかは、会社の規模と、時間を取られている業務で変わります。日報や議事録のような文章の業務は、汎用の生成AIで小さく試せます。図面や工程のように専門の形式がある業務は、建設業向けのサービスを比べる段階です。

会社の状況まず試すこと費用
社員10人前後で、日報と書類に
時間を取られている
汎用の生成AIで日報と議事録の叩き台を作る。
入力して良い情報のルールを先に整備する
生成AIの利用料
(無料で試せるものもある)
見積と積算に時間がかかる積算・見積のAIサービスを、自社の図面
(PDF・CAD)で試せるか確かめて比べる
サービスごとの見積
施工管理ソフトを入れている今のソフトにAI機能があれば、それから使う今の契約の範囲か、
追加の利用料
過去の工事資料や技術を
社内で引き継ぎたい
社内の資料を読み込ませる建設業向けAIを比べる。
読み込ませる資料を先に整理する
サービスごとの見積
どの業務から手を付けるか
決められない
AI導入支援の会社に、業務の洗い出しから相談する支援の費用

3. 建設業向けの主なAIサービス

建設業向けのAIサービスは、積算・見積、工程、書類と社内の資料探し、安全と現場の記録、住宅の営業と提案の分野で出ています。ここでは、提供会社の公式サイトでAIを使った機能が説明されているサービスを、分野ごとに紹介します。表の内容は各社の公式サイトの記載で、順不同です。料金は、利用人数などで変わり、問い合わせで案内するサービスが多いため、表には載せていません。設計の自動化のAIと、施工管理アプリに入っているAI機能は、この章の表には入れていません。

積算と見積

図面から数量を拾い出すサービスと、見積書の叩き台を作るサービスです。対象の工種と、読み込める図面の形式がサービスごとに違います。

サービス名(提供会社)AIで行うこと公式サイトの事例・対象
AI積算(株式会社大塚商会)PDFの平面図から、空調・衛生・消火・電気設備の記号や配管・ダクトを読み取り、数量を拾う。平面図と立面図の不整合を知らせる設備の図面が対象。
拾い表をCSV・Excelで出力
積算AI(株式会社KK Generation)平面図、仕上げ表、建具表などを横断して数量を拾い、自社の品番・単価表と連携して見積書まで出す名古屋市上下水道局での図面と設計書の
照査の実証の記事を公開(2026年3月)
積算AIエージェント(株式会社KENCOPA)建築・土木・設備の図面から数量表を作る。AIが拾った箇所を図面の上に示し、自社の拾いのルールを覚えさせられる仮設・躯体・内部仕上げ・設備、
橋梁や道路改良に対応
コンクルーAI(株式会社コンクルー)図面や現場の写真から見積案を作る。仕入先や外注先の見積書をAI-OCRで読み取って転記し、工程表の叩き台も作る中小建設会社向け。
塗装会社やリフォーム会社の事例を公開している
建設業向け生成AIアシスタントテンプレート(株式会社大塚商会)入札公告や仕様書から発注条件・特記仕様・工期を抜き出し、過去の原価の実績と照合して概算価格を作る「たよれーるneoAI Chat/mini」の
建設業向けテンプレート(2026年6月発表)

工程表の作成

設計図書や過去の工程から、工程表の叩き台を作るサービスです。今使っている工程表の形式(Excelなど)から移せるかで、始めやすさが変わります。

サービス名(提供会社)AIで行うこと公式サイトの事例・対象
Kencopa工程AIエージェント(株式会社KENCOPA)図面・仕様書・数量から工程表を作り、クリティカルパスや工区分けも考える。工期優先・歩掛重視などの条件を指定して工程表を作る株式会社屋部土建(沖縄県)が
製品版の導入を開始(2026年9月)
PROCOLLA(株式会社Arent)新しい工事の条件と過去の似た工事を指定すると、生成AIが工程表の叩き台を作る。既存の工程表への修正の提案も出す大林組の協力で開発。
新地建設工業(宮崎県)の導入インタビューを公開

書類と社内の資料探し

社内の資料や基準書を読み込ませて質問に答えるサービスと、書類の転記を行うサービスです。入れた資料がAIの学習に使われないか、どこに保存されるかは、利用の前に各提供会社へ確認することが大事です。

サービス名(提供会社)AIで行うこと公式サイトの事例・対象
AIコンストシェルジュ「光/Hikari」(燈株式会社)建設・不動産の法規、基準、実務の知識をもとに答える。社内の施工実績や技術資料を読み込ませ、施工計画書などの文案を作る吉川建設株式会社:
技術提案書の作業量が1/3に(2026年6月)
建設業向けAIエージェント活用ソリューション(株式会社日立ソリューションズ)社内のデータをアップロードして、自社専用の生成AIの環境を作る。標準仕様書を調べて答え、コンクリート受入検査の記録の転記を行う北野建設株式会社との
共同プロジェクトを発表(2024年12月)
ANDPAD Stellarc(株式会社アンドパッド)ANDPADにたまった過去の工事の情報や業務マニュアルから質問に答える「ナレッジAI」と、設備や躯体の数量をAIで拾い出す「積算AI」を提供する施工管理アプリ「ANDPAD」の会社が
2025年12月に提供開始を発表

安全と現場の記録

現場の写真やカメラの映像から危険を見つけるサービスと、現場の様子を記録して進み具合を測るサービスです。カメラを置くものは、現場の通信環境も合わせて確認が必要です。

サービス名(提供会社)AIで行うこと公式サイトの事例・対象
安全支援アプリ(株式会社EARTHBRAIN ランドログカンパニー)現場の写真1枚から、起こりうる事故と対策の案、過去の似た事故、関係する労働安全衛生法・規則の項目をAIが出す株式会社森組、
三菱ケミカルエンジニアリング株式会社の事例(2026年7月)
墜落制止用器具フック不使用者検知サービス(株式会社日立ソリューションズ)カメラの映像から、鉄骨の上で安全帯のフックを掛けていない人をAIが検知する奥村組の事例を
公式サイトで公開している
Cupix(Cupix Inc.)360°カメラの映像から3Dのモデルを作り、工種やエリアごとの進み具合をAIが自動で分析する(BIMモデルが必要)日本の総代理店はNTTコミュニケーションズ
(現 NTTドコモビジネス・2024年3月から)

住宅の営業と提案

住宅会社や工務店の営業の業務を、AIで行うサービスです。

サービス名(提供会社)AIで行うこと公式サイトの事例・対象
タノモシカ(安心計画株式会社)商談の音声を文字にして評価し、施主との打ち合わせの議事録や見積の叩き台を作る住宅会社・工務店向け。
2026年3月に正式リリース

AIが出した数量や工程、答えは、人が確かめてから使うのが前提です。サービスを比べるときは、自社の図面や資料で試せるかと、今の施工管理ソフトとデータをやり取りできるかを、提供会社に確認すると選びやすくなります。補助の対象になるかの調べ方は、5章「建設業でAIを入れる費用と補助金」で解説します。

4. 建設業でAIを入れるときのデメリットと注意点

建設会社がAIを入れるときは、図面や施主の情報を入れるルール、数量と安全を確かめる担当、現場で使い続けられるかの3つを、道具を選ぶ前に決めておく必要があります。AIの性能が高くても、情報の扱い、確認、現場での定着は、社内で決めない限り整わないためです。下の6つの注意点には、この3つのほかに、判断の任せ方、今のソフトとのつながり、費用を入れています。

  • 図面や見積、施主の情報をAIに入れるには、社内のルールが必要です。図面、見積の金額、原価、入札の情報、施主の個人情報は、社外に出れば取引先との信頼に関わります。どのサービスに何を入力して良いか、入力した内容がAIの学習に使われる設定になっていないかを、使い始める前に整理することが必要です。個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」も参考になります
  • AIの数量や文章は正しくない場合もあります。生成AIは、事実と違う内容をもっともらしい文章で出すことがあります。数量と単価は元の図面や資料と照合し、法令や基準は最新の一次資料で確かめる流れにしておくと安心です
  • 安全と施工の判断はAIに任せられません。危険予知や施工手順の叩き台にはAIを使えますが、その現場で安全か、その工法で良いかを決めるのは有資格者と責任者です。AIが作った書類は、責任者が読んで承認してから提出する流れにします
  • 現場で使いにくいと、使われなくなります。入力に手間がかかる、スマートフォンで見づらい、といった道具は、現場の担当者が使わなくなります。道具を選ぶ段階から現場代理人や積算の担当者に試してもらい、使い方を教える担当を選任しておくことが大事です。研修を外に頼むなら、AI研修のおすすめで研修会社を比べられます
  • 今の施工管理ソフトとつながらないと、入力が二重になります。写真や日報、工程を別々のソフトに入れると、同じ内容を何度も入力する手間が出ます。導入の前に、今のソフトとデータをやり取りできるか、解約したときにデータを取り出せるかを確認することが必要です
  • 費用は利用料のほかに、資料の整理と教育にかかります。社内の資料を読み込ませるAIは、古い資料と新しい資料を分けるなどの整理から始まります。1章で紹介した建設業従事者への調査でも、AIの導入と活用の課題として「社内ルールの未整備」(20.4%)と「導入コスト」(20%)が上位でした

建設業でAIを入れるメリットは、書類づくり、数量の拾い出し、現場への移動や確認にかかる時間が減ることです。工事の段取りを組み、協力会社や施主と話して判断する仕事は、AIを入れたあとも人が担います。減った時間を何に回すかまで決めておくと、導入の効果を現場が実感しやすくなります。

5. 建設業でAIを入れる費用と補助金

AIのソフトにはデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)があり、通常枠は補助率2分の1以内で、補助額は5万円以上450万円以下です。建設の機器には中小企業省力化投資補助金があり、補助率は2分の1以下で、上限は従業員数に応じて200万円から1,000万円まで変わります。どちらの補助金も、事務局に登録された製品だけが対象になるため、入れたいサービスや機器が対象かを先に確かめることが必要です。

費用の分かれ方

建設業でAIを使う費用は、使い方によって3つに分かれます。汎用の生成AIには、無料で試せるプランと、1人あたり月額の有料プランがあります。建設業向けのAIサービスは、利用人数などで料金が変わり、金額を問い合わせで案内するサービスが中心です。自社の図面や書式に合わせて作り込む場合は、初めに開発の費用がかかります。

AI導入支援の会社に業務の見直しや研修、仕組みの開発を頼む場合の費用の目安は、AI導入支援の費用相場で解説しています。

国の補助の仕組み

AIを含むソフトの導入には、中小企業庁と中小企業基盤整備機構のデジタル化・AI導入補助金2026が使えます。通常枠の補助率は2分の1以内で、地域別最低賃金に近い賃金で雇う従業員が一定の割合を超えるなどの条件を満たすと3分の2以内です。補助額は、ソフトが受け持つ業務のプロセス(顧客対応・販売支援、会計・財務など、公式が決めた業務の区分)の数に応じて、5万円以上450万円以下です。補助の対象は、IT導入支援事業者が登録したソフトの購入費とクラウドの利用料(最大2年分)で、汎用のプロセスだけのソフトは対象外です(デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠)。

補助金対象補助率補助の上限
デジタル化・AI導入補助金2026
(通常枠)
登録されたソフト、
クラウドの利用料
2分の1以内
(条件を満たすと3分の2以内)
1〜3プロセス:5万円以上150万円未満
4プロセス以上:150万円以上450万円以下
中小企業省力化投資補助金
(令和7年11月1日時点)
登録された機器
(測量機、建設機械など)
2分の1以下従業員5名以下:200万円
6〜20名:500万円
21名以上:1,000万円

出典:デジタル化・AI導入補助金2026、国土交通省「建設業におけるICT導入・活用促進のための支援措置について」(令和7年11月1日時点)。省力化投資補助金の上限は、大幅な賃上げを行う場合に引き上げられます。

中小企業省力化投資補助金で建設業向けに登録されているのは、マシンガイダンス機能付きのショベル、地上型3Dレーザースキャナー、自動追尾の測量機などの機器です。AIのソフトを入れたい場合は、デジタル化・AI導入補助金のほうを確認します。デジタル化・AI導入補助金は公募の回ごとに制度が変わることがあるため、申請の前に事務局のサイトで最新の公募要領を確かめることが必要です。補助の対象のツールは、事務局のサイトの「ITツール検索」で調べられます。

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6. 自社で進めるか、外に相談するか

建設業でAIを入れるときの相談先は、自社で進める、今の施工管理ソフトの会社、建設業向けAIサービスの会社、AI導入支援の会社の4つです。どこに相談するかは、始める業務を社内で決められるかと、AIの出したものを確かめる担当を置けるかで変わります。

相談先は4つ

相談先してくれること費用向いている場面
自社で進める汎用の生成AIを
社員が試す
生成AIの利用料減らしたい業務が決まっていて、
試す社員がいる
今の施工管理ソフトの会社今のソフトのAI機能の設定、
使い方の説明
今の契約か、
追加の利用料
写真や日報のように、
今のソフトで扱う業務から始める
建設業向けAIサービスの会社自社のサービスの導入、
図面や資料を使った試用
サービスの費用積算や工程のように、
使いたい分野が決まっている
AI導入支援の会社業務の切り分け、社内ルールづくり、
複数の道具の組み合わせ、研修、開発
支援の費用業務の見直しから
任せたい

写真の整理や日報のように今の施工管理ソフトで扱う業務は、まずソフトのAI機能を確かめ、積算や工程のように今のソフトに無い分野は、建設業向けAIサービスを比べます。施工管理ソフトや建設業向けAIサービスの会社は、自社の製品に詳しい相談先です。どの業務から始めるかを決めるところから手伝ってほしい場合や、社内の図面と資料を使って自社に合わせた仕組みを作りたい場合は、AI導入支援の会社が合います。AI導入支援の会社が何をしてくれるかは、AI導入支援とはで解説しています。

建設業の支援事例を公式サイトに載せているAI導入支援の会社

編集部が、AI導入支援のおすすめ11選で紹介している会社の公式サイトを確認した範囲で、建設業の会社をAIで支援した事例を載せている会社を紹介します。表の内容は各社の公式サイトの記載で、順不同です。

会社名公式サイトの事例対象の業務
AVILEN「【AI変革事例_建設業界】熟練者の知見を定量化。2D図面の見積もり業務を83%削減したAI自動認識システム」(公式サイトの掲載日 2026年4月14日。顧客名は非公開)2Dの図面からの
見積もり
KDDIアイレット太陽光発電・蓄電池の設計・施工・保守を行う株式会社サニックスエンジニアリングの事例。「問い合わせ対応工数を7割削減」(公式サイトの掲載日 2026年2月18日)社内の資料を読み込ませた
問い合わせ対応のAIチャット
クラスメソッド総合建設コンサルタントの中電技術コンサルタント株式会社の事例(公式サイトの掲載日 2026年7月3日)AIによる電話の
自動応答の実証
ギブリー「清水建設、全従業員向けに『法人GAI』を導入。生成AIによるDXを推進し、生産性向上を目指す」(公式サイトの掲載日 2024年5月16日)全従業員の調査、文書生成、
要約などに使う生成AIの基盤

4社の事例の対象は、図面からの見積もり、社内の資料を使った問い合わせ対応、電話の応対、全従業員が使う生成AIの基盤づくりです。支援会社に問い合わせるときは、自社の図面や資料をAIの学習に使わない設定にできるか、試しに使う期間を設けられるかの確認が大事です。各社の料金とほかの導入事例は、AI導入支援のおすすめ11選にまとめています。

7. 自社で進めるのが向く会社・外に相談するのが向く会社

どちらが向いているかは、始める業務を社内で決められるか、AIの出したものを確かめる担当を置けるかで分かれます。会社の状況ごとに整理しました。

自社で進めるのが向く会社

  • 減らしたい業務が決まっている会社。日報や見積のように対象が決まっていると、試す道具を選びやすく、減った時間も数字で確かめられます
  • AIの数量や文章を確かめる担当を置ける会社。積算や書類を確定する前に読み直す担当がいれば、AIの間違いを社内で直せます
  • 今の施工管理ソフトに、AIの機能がある会社。ソフトの会社に設定を聞くところから始められます
  • パソコンやスマートフォンに慣れた社員が1人いて、週に数時間を使える会社。その社員が使い方を覚えて、ほかの社員に教える役を担えます

外に相談するのが向く会社

  • どの業務から手を付けるかを決められない会社。AI導入支援の会社に、業務の洗い出しと、時間のかかっている業務の数え上げから手伝ってもらえます
  • 過去の図面や工事資料が複数の場所に分かれていて、整理する担当を置けない会社。資料の整理と読み込ませる仕組みづくりから、外の会社に頼むと進めやすくなります
  • 入力して良い情報のルールを整備する担当がいない会社。図面や見積の情報の扱い方と、社員への研修をまとめて整備してもらえます
  • 協力会社まで含めて、10社以上と書類をやり取りしている会社。元請と下請で書類をやり取りする流れに合わせて、道具の組み合わせを設計してもらえます

外に相談するのが向いていると感じたら、業務の見直しから手伝ってもらえるAI導入支援の会社を比べる段階です。AI導入支援のおすすめ11選で、各社が支援した会社の状況と一緒に確認できます。

何社も調べて、比べる。その手間に。ジツゾウの独自AIで発注先探しをもっとラクに。候補探し・比較・信頼性の確認を、独自AIでまとめて支援。発注先探しを相談する

8. 建設業のAIに関するよくある質問

建設業でAIを使っている会社はどのくらいありますか?

建設業従事者2,000人への調査では、AIを業務で活用している人は34.8%でした。アンドパッドが2025年12月に行った調査で、「積極的に活用」「試験的活用」と答えた人の割合です。「活用予定なし」は47.3%で、使い道で多かったのは書類作成(36.8%)、施工・安全管理(24.6%)、工程・進捗管理(24%)でした。

建設業に特化したAIはありますか?

あります。積算・見積、工程、書類と資料探し、安全と記録、住宅の営業の5つの分野で出ています。建設の図面や専門用語に対応している点が、汎用の生成AIとの違いです。分野ごとの主なサービスは、3章「建設業向けの主なAIサービス」で紹介しています。

建設業で無料で使えるAIはありますか?

図面や施主の情報を入れない範囲なら、無料の生成AIで日報の叩き台を作れます。議事録やメールの叩き台にも使えるのが、無料のプランの範囲です。使える機能と入力した内容の扱いは、提供元の規約で決まります。無料のプランに図面や施主の情報を入力すると、社外のサービスに情報が送られるため、入力して良い情報のルールを先に整備することが必要です。

社員10人前後の工務店でもAIは使えますか?

使えます。日報と議事録の叩き台は、社員10人前後でも汎用の生成AIで小さく試せる業務です。見積は、自社の図面で試せる積算・見積のAIサービスを比べるところから始められます。ソフトの導入にはデジタル化・AI導入補助金2026(通常枠は補助率2分の1以内)が使えるため、入れたいサービスが補助の対象かを確認すると安心です。

フィジカルAIとは何ですか?

建設機械やロボットがAIで判断して作業する技術で、国は重点8分野を挙げています。国土交通省が2026年9月に示した重点8分野は、機械施工、人力技能作業、構造物点検、災害調査などで、「建設分野におけるフィジカルAI戦略」の中間とりまとめで示されています。今は国土交通省が現場での実証を進めている段階で、中小の建設会社がすぐ使うAIは、書類や図面、写真を扱うソフトが中心です。

9. まとめ

建設業でAIが使えるのは、書類づくり、図面からの数量拾いと見積、写真や配筋の検査、工程の組み立て、社内の資料探し、現場の危険の発見です。どの業務でも、AIが出したものを担当者が確かめ、数量・安全・施工の判断は人が行います。導入の前に、図面や施主の情報を入れるルール、確かめる担当、現場で使い続けられるかを決めておくことが必要です。

減らしたい業務が決まっていて試す社員がいる会社は、今の施工管理ソフトのAI機能や汎用の生成AIで試すところから始めましょう。積算や工程のように分野が決まっている会社は3章のサービスを比べ、業務の見直しから任せたい会社はAI導入支援のおすすめ11選で支援する会社を比べられます。ソフトの導入にはデジタル化・AI導入補助金2026が使えることもあるので、入れたいサービスが対象かもあわせて確認すると安心です。

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